先ず北インドの中世彫刻について述べることとする。中世彫刻は当代インドのあらゆる地域で展開したことにより、古代と異なる特徴を持つ。これは南インド彫刻についても同様であるが、建築の発達と即応した形で展開し、寺院というものが建築と彫刻からなる複合体として発達したことが挙げられる。また、抽象的で単純な部分が有機的に結合され、全体が統一性を持って構築されていることも具体例に挙がるべきことだろう。更にかかる寺院が、今までのように特定地域のみで発展するのではなく、様々な地域でそれぞれの地域性を見せながら造営されたのである。
北インド中世彫刻は建築と一体となって展開したこともあって、古代彫刻が目指した自然な表現からは離れ、建築細部と釣り合うような比較的単純な形態を集積して造形する傾向が強い。従って古典様式彫刻では、部分を取り上げてもまた全体としてもある程度表現の複雑さがあったが、中世彫刻においては抽象性の高い部分が有機的に結合され、全体が統一性を持って構成されている。中世彫刻とは概して造形的には単純で、たとえ一見複雑であっても建築の場合と同様に、構成単位は比較的簡単な形態である。
先ず北インドの中世彫刻について述べることとする。中世彫刻は当代インドのあらゆる地域で展開したことにより、古代と異なる特徴を持つ。これは南インド彫刻についても同様であるが、建築の発達と即応した形で展開し、寺院というものが建築と彫刻からなる複合体として発達したことが挙げられる。また、抽象的で単純な部分が有機的に結合され、全体が統一性を持って構築されていることも具体例に挙がるべきことだろう。更にかかる寺院が、今までのように特定地域のみで発展するのではなく、様々な地域でそれぞれの地域性を見せながら造営されたのである。
北インド中世彫刻は建築と一体となって展開したこともあって、古代彫刻が目指した自然...