第1期国定教科書(黒表紙教科書)時代の算数科の教育内容について述べ、それをもとに2002年度完全実施の学習指導要領(算数科)の教育内容を考察せよ。
社会の変容に伴って、現在、算数教育のあり方が問われている。私たちは、そうした現在に見合った新たな算数教育を創り上げていかなくてはならない。その際、重要なことは、日本におけるこれまで算数教育の歴史を見直すことであろう。以下では、第1期国定教科書(黒表紙教科書)時代の算数科の教育内容について述べる。
明治時代中後期の算数科教育では、黒表紙の教科書を使用した。算数の内容は、厳格な教え主義のもとで、数と計算を中心に構築された。教育の国家統制が強まる中、藤澤、菊池らによって、教育内容も一元化されるようになった。藤澤の教え主義や菊池の幾何は、国家としての教育制度を確立する上で強力な推進力を担うものであったが、当時の子どもの認識の発達を考慮したものではなかった。以下では、これをもとに2002年度完全実施の学習指導要領(算数科)の教育内容を考察する。
2002年から本格的に実施される新しい学習指導要領は、いくつかの審議会の答申を経て1998年に告示された。...