『文章のみがき方』を読んで

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    『文章のみがき方』を読んで
     いい文章を書くための条件には、大切な要素がたくさんあり、それらはどれ1つとっても、到達点が霞んで見えぬ、はるかな道である。文化勲章を受章した井伏鱒二ほどの作家が、文末1つとって「てこずっている」といったのだから、その道のりの険しさは容易に想像がつく。しかし、同時に、いい文章を書くための道を地道に歩き続けるものは、それなりの果実を手にすることはできる。本稿では、そうした道を進むための道しるべとして、本書で記されている38もの章の中から、特に論文を書くために役立ちそうな主題を抜粋して、まとめていく。
     文章は、その意図するものが、読み手に伝わらなくては意味がない。つまりいい文章とは、わかりやすく人に伝わる必要がある。そのためには、自分がどうしても伝えたい思いや考えを、はっきりさせることが重要だ。「これだけは何としてもあなたの胸に刻みたい」という切なる思いは、文章技術を超えて大切である。伝えたい思いさえあれば、文法などは間違っていたって、通ずる思いがある。しかし、私たちのまわりには、逆の文章も溢れている。記述が多すぎて、伝えたいことがさっぱりわからない文章や、自...

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