日本政府及び国民のなかに「インテリジェンス」という概念がまだ強く意識されていないこと。そして急激なパラダイムシフトを目の当たりにしている現代においては、情報管理とその戦略的利用は時に武力行使に勝る効果をもたらすことをこれまで我々は述べてきた。本章では情報戦において圧倒的優位にある英米のアングロサクソン文化圏に対抗する動きを紹介し、その上で日本型官民協調のインテリジェンス戦略を提言したい。
1 アングロサクソン情報網とフランス
湾岸戦争やイラク戦争において我々が目にしたのは米英の圧倒的な軍事力であった。はるかな上空からのピンポイント爆撃や地上戦における暗視機能の差はそのまま両国の死傷者数に反映し、どちらの戦争においても短期間で米英側が勝利を収めた。
冷戦構造崩壊後の戦争のあり方を見せつけた二つの戦争だったが、米英というアングロサクソン文化圏の一極支配構造は軍事や経済といったハードパワーにとどまらず、文化や情報といったソフトパワーにおいても圧倒的である。
19世紀、強大な海軍と植民地経営に支えられた大英帝国は日の沈まない帝国として世界中に英語とイギリスの価値観、そしてキリスト教を広めていった。20世紀、そのあとを受け継いだ同じくアングロサクソン民族を中心としたアメリカ合衆国も、市場主義経済とパワーポリティクスの伝道師として世界を席捲。世界語としての英語、そして米国資本OSやブラウザをデファクトスタンダードとするインターネットを武器に、21世紀においても覇権国家として君臨しつづけるように見える。
この圧倒的な米英の一極支配。しかしてこの一人勝ち構造に対するルサンチマンと均衡回復の動きはあるところで宗教戦争の体をとり、またあるところでは地域統合の形で具現化しつつある。
官民協調型、総合的なインテリジェンス戦略
日本政府及び国民のなかに「インテリジェンス」という概念がまだ強く意識されていないこと。そして急激なパラダイムシフトを目の当たりにしている現代においては、情報管理とその戦略的利用は時に武力行使に勝る効果をもたらすことをこれまで我々は述べてきた。本章では情報戦において圧倒的優位にある英米のアングロサクソン文化圏に対抗する動きを紹介し、その上で日本型官民協調のインテリジェンス戦略を提言したい。
1 アングロサクソン情報網とフランス
湾岸戦争やイラク戦争において我々が目にしたのは米英の圧倒的な軍事力であった。はるかな上空からのピンポイント爆撃や地上戦における暗視機能の差はそのまま両国の死傷者数に反映し、どちらの戦争においても短期間で米英側が勝利を収めた。
冷戦構造崩壊後の戦争のあり方を見せつけた二つの戦争だったが、米英というアングロサクソン文化圏の一極支配構造は軍事や経済といったハードパワーにとどまらず、文化や情報といったソフトパワーにおいても圧倒的である。
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