授業でイギリスの宗教改革の意味について、ヨーロッパという普遍の一部にイギリスが埋没することなく一つの主権国家であるということを主張した、と言われていたが、それについてミクロな視点で見たとき、人々の意識はどのように変化したのだろうか、と思った。そこである本を読むとそこに「個人主義の出現」というものがあったことを知った。そこから私はそのことに興味をもち、どのように変化しその原因は何だったのかを調べてみることにした。
個人主義。すなわち集団としてより、個人としての生き方を尊重する考え方、と簡単に定義してよいだろうか。現代の特に欧米においては、この個人主義というスタンスが浸透している。それはある種の宗教のように、たとえばキリスト教やイスラム教といったようなその地域の人々の基本的概念を形成する一要素として位置づけることも出来る。
しかし、かつてはそうではなかった。少なくともイギリスにおいては、15,6世紀頃までは一部の都市に住むものたちを除くと個人主義という概念は人々の頭の中に存在していなかったようである。彼らは小さな村落共同体の中で生活し、そこで一個人としてではなく集団の一成員として自ら...