経済のグローバル化が加速する現在、日本では新自由主義改革とともに軍事大国化が並行して進められている。それに伴い、国内ではそれを推進、正当化するイデオロギーとしての新たなナショナリズムが台頭し、隆盛を見るに至っている。以下では、ネオ・ナショナリズムの成立の背景と、その性格について検討する。そして戦後ナショナリズムの特殊性に着目した上で、今後のパースペクティブについても考えてみたい。
1, 日本の軍事大国化とネオ・ナショナリズムの台頭
冷戦が終結し経済のグローバル化が本格的に進行し始めた90年代から、日本の軍事大国化の要求が出始めたが、これには内外からの二つの側面があった。
まず一つ目は、アメリカからの要求である。経済のグローバル化に伴い、世界中に市場を求め資本主義の拡大を目指すアメリカは、市場秩序の安定・安全を乱す国に対し、武力鎮圧も辞さない「世界の警察官」の性格を強めていた。中東、東アジアで政治的不安定が続く中、世界第二の経済大国である日本も、その役割を分担することを要求されるようになったのだ。そして二つ目は、国内の財界からの要求である。海外進出する企業にとって、進出先の政治的安定は...
その背景としてのグローバリゼーションの状況、新自由主義改革と小泉政権下の軍事大国化について概観した上で、新たなナショナリズムの意義について論じていきます。