客観報道とジャーナリズム―薬害肝炎報道より

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     客観報道とジャーナリズム―薬害肝炎報道より
    【要約】
     客観報道の現状と展望について、薬害肝炎訴訟に対する報道をもとに考察した。
     客観報道とは、報道機関がニュースを伝える際にジャーナリストの主観や意見を入れずに、事実に基づいた報道を行う、という原則である。しかし実際には、いかに客観的な形式をとっているように思われる報道においても、以下の四つの過程において主観的な選択・価値判断を避けて通ることはできない。その過程とは、報道対象の選択、報道の視点の選択、表現上の選択、編成上の序列化の過程である。
     薬害肝炎の報道については、第一の報道対象の選択の過程は当然のものとして、第二の視点の選択においては、始めから原告側の立場をとっていたように思われる。また争点については、政府の責任の時限の問題についてのみに各報道機関が終始していたように考えられる。第三の表現の選択では、明らかに薬害被害者への同情を煽るような手法がとられ、第四の編成の過程ではどの報道機関も比重を大きくして扱っていたことが見受けられた。
     以上の過程から「客観報道」は存在し得ないものである。そのため我々はメディアに接する際にその主...

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