ヘーゲルの思想的模索について
本レポートではイェーナ初期におけるヘーゲルの思想的模索について、シェリングとの関係を中心に論じる。
背景 ヘーゲル、イェーナ初期について
初めに、ヘーゲルの経歴とその中におけるイェーナ期の位置づけについて述べる。ヘーゲル(ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル)はドイツの哲学者で、フィヒテ、シェリングと並んでドイツ観念論を代表する思想家である。ドイツ観念論哲学の完成者であり、近代哲学と現代哲学の分水嶺として位置づけられることも多い。なお、同時代人に、作家のゲーテ、音楽家のルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、画家のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒがいる。ヘーゲル死後、一時期ドイツの大学における哲学教授のポストはヘーゲルの弟子(ヘーゲル学派)で占められた。1830~1840年代はヘーゲル学派の中でもヘーゲル左派が興隆したが、ヘーゲル左派の思想はマルクスらによって批判的に受け継がれ、次第に勢いが衰えていった。
ヘーゲルは1801年にイェーナ大学に私講師の席を手に入れ、哲学研究を進めた...