日本国憲法制定過程及び憲法改正の動きを踏まえて、日本国憲法は如何にあるべきか。まず、私は日本国憲法を改正する必要性はないばかりではなく、改正すべきではないと考える。この立場にたって現在の憲法改正論について以下のように論じる。
第一章 改正理由
現在、日本では憲法改正についての論議がなされている。しかし、この問題を考えるにあたっては、なぜ憲法を改正する必要があるのか、その理由を問うことが最重要である。一国の基本法である憲法の改正には、相当の必然性があるべきである。そこで、改憲論者の改正理由とされる事柄を挙げ、私なりの考えを述べる。
理由の第一は、現在の憲法は条文と解釈がかけ離れすぎていて、国民には理解しにくいという声が多いことだ。一見、もっともに思える。しかし、それは国法の基本的原理を示している憲法であれば当然のことで、改正したところで時代とともに判例等により憲法の解釈は展開されるものである。実際にそのような条項は相当な数にのぼっている。果たして改正によって解釈を一つ一つ明文化することに、どれほどの意味があるのだろうか。また、既に解釈として国民生活に定着している事柄について、大変なエネ...