「日本的経営」の成立とその変容
1、「日本的経営」とその成立背景
1)「日本的経営」の三種の神器
1995年ないし60年に始まったとされる高度経済成長、とりわけ戦後の目覚ましい経済復興を賞賛して、J,C,アベグレンは、「日本的経営」の特徴として3点を指摘しました。すなわち、後にいわゆる「三種の神器」と呼ばれる、①終身雇用的慣習ないしは長期安定雇用、②年功序列的処遇、③企業内的組合です。以来、「日本的経営」の特徴として、盛んに喧伝されました。以下に、その「三種の神器」について概観してみる。
①の終身雇用的慣習は、一般的にひとたび企業に雇用されると、会社が倒産しない限り「定年」(60歳、現在は延長される傾向)まで勤務することができる日本独特の雇用システムというイメージを受け止められてきたように思われます。しかし、日本企業における雇用の実態は、「終身雇用制」とよばれるような終身雇用を保証する制度的、法律的な根拠は一切なく、単なる慣行に過ぎないというのが実態であります。現に、70年代初期のオイルショックによる不況の時には、早期退職を募ってかなり柔軟に人減らしが行われました。また、定年...