手形法:白地手形
1.白地手形としての有効性
(1)XがYから本件手形による手形金の支払いを受けるためには、Yによって振り出された手形が有効である必要があるところ、Yは受取人、振出日および支払期日を空白のままで振り出している。受取人、振出日、満期日の記載は手形要件(手形法75条3号、5号6号であるから、本件手形は無効手形とも考えられるが、手形要件が欠けている手形であっても、商慣習法上の必要性から白地手形の有効性は認められている(77条2項、10条)。
(2)しかし、一見すれば無効手形と白地手形の区別は手形の券面上の記載からは区別できない。そこで、無効手形と白地手形の区別をいかになすかが問題となる。
(3)まず、白地手形は欠けている要件を補充する補充権を前提とするものであり、補充権が付されていない白地手形は、単に手形要件が欠けた無効な手形ということになる。そして、この補充権の存在をどこで判断するかであるが、白地手形の作成は法律行為であるから、その成否は振出人の意思に求めるべきであると考える主観説がある。しかし、手形というものは流通することを前提に振り出されるもの...