仕事と暮らしの情報クリップ
【月刊】
<無料公開版>
┃i Works
2009 年8月号
1
<メッセージ>
「これからどうやって、この社会(カイシャ+人生)を
生き延びていくのか」。
こういう漠然とした、けれども切実な、あふれる思いが
人々の心を満たしています。
新聞が読まれなくなってきたのにも、自動車が買われ
なくなってきたのにも、理由があります。時代がそうさせ
る、大きな変化がそこにはあるのです。
能力を育成し人生を切りひらいていく、それを自力で、
と要求される、そんな時代に、わたし達はいます。
必要なのは自分の生活に寄り添った具体的な情報。そ
れも細切れではない、時代の変化を俯瞰する視点で選ば
れ、他の人とは違う情報の読み方を提供するコメント。
「仕事と暮らしの情報クリップ」がお届けしたいのは、そう
いうコンテンツです。
その視点や読み方の質感は、どうぞ「無料公開版用
付録 巻頭コラム」で、お確かめください。
2
【仕事と暮らしの情報クリップ】は、忙しいあなたのための情報
コンシェルジェ。毎月一度厳選したコンテンツをお届けします。
ネットに公開
仕事と暮らしの情報クリップ
【月刊】
<無料公開版>
┃i Works
2009 年8月号
1
<メッセージ>
「これからどうやって、この社会(カイシャ+人生)を
生き延びていくのか」。
こういう漠然とした、けれども切実な、あふれる思いが
人々の心を満たしています。
新聞が読まれなくなってきたのにも、自動車が買われ
なくなってきたのにも、理由があります。時代がそうさせ
る、大きな変化がそこにはあるのです。
能力を育成し人生を切りひらいていく、それを自力で、
と要求される、そんな時代に、わたし達はいます。
必要なのは自分の生活に寄り添った具体的な情報。そ
れも細切れではない、時代の変化を俯瞰する視点で選ば
れ、他の人とは違う情報の読み方を提供するコメント。
「仕事と暮らしの情報クリップ」がお届けしたいのは、そう
いうコンテンツです。
その視点や読み方の質感は、どうぞ「無料公開版用
付録 巻頭コラム」で、お確かめください。
2
【仕事と暮らしの情報クリップ】は、忙しいあなたのための情報
コンシェルジェ。毎月一度厳選したコンテンツをお届けします。
ネットに公開される無数の情報の中から、信頼性が担保されて
いるコンテンツに絞ったうえで、仕事と暮らしの目線でこれを選
別、編集したクリップ集。
その内容を、独自の視点から「60文字以内コメント」で紹介。
構成:タイトル + URL + コメント
全部で5種類。興味にあわせ、お選びください。
(順次、カテゴリーを拡大してゆきます。お楽しみに)
┃iBusiness
マーケティング、IT、ビジネスモデル、経営、産業論など
┃iEconomy
景気、成長と生産性、経済、環境、資本主義論、経済法など
┃iFinance
金融、会計、税制、財政、地方分権、社会保障、金融工学、
金融業など
┃iWorks
雇用、人事、キャリア、働くって?、年金、シニア、人口動態、
地域経済など
┃iGlobal
米国、中国、ロシア、EU、東欧、アジア、BRICsなど
3
┃iWorks
雇用、人事、キャリア、働くって?、年金、シニア、人口動態、
地域経済など
●ビジネス・キャリア検定試験
http://www.bc.javada.or.jp/lecture/lecture.html (講座一覧)
http://www.bc.javada.or.jp/textbook/ (テキスト一覧)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/business/index.html
事務系職業の職務分野(8 分野)毎に、その職務遂行に必要
な専門的知識を 45 単位に分類。厚生労働省の職業能力開発
プラン。
●厚生労働省:「キャリモバ.jp」がオープンしました!
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/06/03.html
キャリア・コンサルタントによるメール相談ができる。自分の適
性をストーリー展開の中で考える「適性発見ナビ」。「職業事
典」他。
●自営業主・家族従業者と雇用者の生産性格差
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/09j018.pdf
男性・雇用者と比較した場合、男性・自営業者の生産性の方が
有意に高いことが判明。労働生産性と資本生産性に分解した
視点が必要。
4
●【資料 5】橘木俊詔委員提出資料
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g71026a02j.pdf
教育安心社会の実現に関する懇談会~教育費の在り方を考
える~第二回配布資料。
●20 年後のツレ合い事情:研究員の眼
http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2009/e
ye090619.html
未婚率の上昇と離婚の増加により、「有配偶」が標準という前提
すら崩れかけている日本の社会。
●20 年後の日本~20 年後のことを言うと鬼は笑うか
http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2009/e
ye090610.html
予測には、「遠くよりも近くが当たるとは限らない」という以外に
も様々なパラドックスがある。
●自殺実態調査 報告書-自死遺族からの聞き取り調査
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2009/06/60j6o1
02.htm (概要版)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2009/06/DATA
/60j6o100.pdf
事前予防、早期発見・早期対応などの施策のために、東京都
が実態を調査。「自殺のサインとは思わなかった」61.1%。
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※有料版は3~4倍のコンテンツで、
時代の変化を俯瞰する視点と、
他の人とは違う情報の読み方を
「カテゴリー:ニュース」で販売中。
produced by 神宮司信也
月刊誌「ビジネスパーソンのための情報カプセルMOVE」の
クリップパートナー 兼 コラムニスト
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<無料公開版用 付録>
月刊誌「MOVE」 巻頭コラム
縁辺労働概念と「日本社会の危機」
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縁辺労働という普段あまり見かけない単語からはじめるほう
が、議論に見通しが立つのかもしれない。かつて非正規雇用
の単語が指し示すものは縁辺労働とほぼ重なっていた。しかし
90 年代あたりから、ふたつの単語のカバーする範囲にずれが
生じた。生じたにもかかわらず制度がそれをフォローし修正し
ないまま、「百年に一度の不況」。そのため非正規雇用者の大
量解雇の事態となり、TV・新聞は08年から 09 年の年末年始、
「大事件」と報じた。が、今は沈静化している。しかしこのところ
「非正規雇用者の危機」、「就職氷河世代の危機」、「ニートの
危機」を、さらに進んで「日本社会の危機」と認識する論考が目
立つ。これを「労働」と「能力」を意識的に使い分けることで読
み解いてみたい。
縁辺労働
縁辺労働とは、その仕事から得られる収入が生計を賄うに
十分でない労働のことで、基幹労働との間に連続性がない、
関連付けされていないものを指す。
かつて日本企業の強さの理由のひとつとして「国鉄職員も切
符切りから」が言われていた。将来国鉄という組織の頂点に立
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つかもしれない人材ですら、入社当初は「切符切り」からその
職業人生をスタートさせるという意味だ。ただしこの場合「切符
切り」労働は、組織の頂点に立つ(基幹労働)こととの間に連続
性がある。だから縁辺労働ではない。
また似たような話でかつての銀行員は「受付窓口」係りから
その職業人生をスタートさせるのが当たり前であった。ここで顧
客応対と札勘(紙幣の取り扱い技術)を覚える。新米銀行員は
将来支店長になる日のために、サービス業の基本(顧客対応)
と経理勘定処理の入門編(札勘)とをここで学ぶ。教育研修体
系の中で、きちんとそういう位置づけを与えられた仕事としてこ
の時期、訓練される。ところが最近、札勘部分が機械化された
うえで、この窓口業務がパート化されてきた。いまパートとして
窓口業務をこなしている人員には、支店長になる道筋はほとん
どない。そうすると日々こなしている仕事を、支店経営の一部と
捉え直すことも、広い意味での「経理勘定処理」の一環として、
自分の頭の中の整理引出に収めるインセンティブもなくなる。
これが、ある仕事を縁辺労働と定義するかどうかの重要な契機
である。この意味で「労働」概念と「能力」概念の間には関連性
がある。
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職種特殊的能力+組織特殊的能力
国鉄という組織の頂点に立つのには、また支店長になるの
には総合的能力(職種特殊的能力+組織特殊的能力)の獲得
が必要。職種特殊的能力とは、個別の企業に依存しない、どこ
でも通用する能力のこと。「形式知」に親和性のある概念。一方
組織特殊的能力とは特定の企業に固有な、またはその企業の
文化に根ざした能力で、「(特定の)組織を動かす力」のこと。
「暗黙知」と親和性のある概念。
これらの、「能力」の成長(拡大、深化、体系化)と切り離され
たところにある、という点が縁辺労働の性質の最もコアな部分
で、上からもわかるように、これこれの労働が「縁辺労働」と定
義されるものでもない。80 年代場合によっては 90 年代前半ま
で、日本の企業はかなり広範な業務を基幹労働の傘下に包摂
し、従業員の教育・指導に多大な体力と資金を注ぎこんでき
た。
同時にこの企業の行動様式を前提に、実は労働法制・行政
も運営されてきたし、学校も家庭も、同様の意識の下にあった。
つまり「能力」育成の任にあっていたのは、社会の中で「企業」
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という単独のセクターのみであった。このことが非正規問題を
単なる循環的な景気問題ではなく、「日本社会の危機」へつな
いでいる。そしてこの度の危機に日本的特殊性を見る背景とな
っている(たとえば『なぜ世界は不況に陥ったのか』の著者池
尾慶応大教授や池田上武大教授は、日本の経済社会に対す
る「長期不況の予感」を訴え、警鐘を鳴らしている)。
なぜなら「能力」の獲得とその成長こそ、食べていけるため
の、結婚して世帯をもうけるための条件である。だからもともと
縁辺労働「者」とは、主たる稼ぎ手がいる世帯の、副次的な収
入を得るために働く人のことだった。その仕事から得られる...