ヘンリー・ジェイムズの「ある婦人の肖像」について、アメリカ娘、イザベルは父の死後、ヨーロッパの叔母、タチェット夫人の招きで、ガーデンコートを訪れたのである。
彼女は聡明で、想像力豊かであるから、薄暗い閉ざされた雰囲気のオルバニーから開放され、伝統の重荷からも開放されて、自由に生きることを求めていたのだろう。
そこで病弱のタチェット氏と息子ラルフ、そして貴族ウォーバートンを魅了したのである。ウォーバートン貴族は、たちまち恋の虜となり、彼女に求婚するが自由奔放な彼女は、特権的な貴族の地位を嫌って断った。
同じ頃、アメリカから彼女の後を追ってやってきた実業家、キャスパー・グッドウッドからも求婚されるが拒否。
一方、タチェット氏は臨終の床でライフにイザベルとの結婚を勧めるが、病弱なラルフは父の意見を断り、自分への遺産の半分をイザベルに贈与するように頼んだのである。
彼は国際的な広い心の持ち主で、自由なイザベルの生活に期待したのだろう。イザベルが思う存分、自分の目で見た世界を羽ばたけると考えたのだろう。
危篤のタチェット邸でイザベルは、夫人の友人でアメリカ生まれのマール夫人に紹介され、彼女の洗練...