国際法
犯罪人引渡に関する諸原則を論じなさい。
1.はじめに
他国で犯罪をおかし自国内に滞在する者を他国からの請求に応じて追訴、処罰するために引き渡す
ことを犯罪人引渡し(extradition)
らず、引渡しは犯罪人引渡条約に基づき行われている。
2.伝統的犯罪人引渡条約の基本原理
(1)相互主義の原則
伝統的な犯罪人引渡制度は、犯罪必罰の要請を実現するために「相互主義」(reciprocity)と「主権原
理」(principle of State sovereignty)に基づいて行われる。すなわち、犯罪の防止と処罰という要請を実
現するために、諸国は犯罪人引渡条を締結し、または条約がない場合には、国際礼譲に基づいて司
法的協力によって犯罪人の引渡を相互の間で行ってきた。ただし、条約がなければ引渡の義務はなく、
引き渡すかどうかは任意の合意によって行われるにすぎない。一般に引渡対象となる犯罪は、重大犯
せられるものに限られるのが通例である。これを双方可罰性の原則という。 また、引き渡された犯罪
人は引渡し請求の理由となった犯罪についてのみ処罰されるのが原則である。すな
国際法
犯罪人引渡に関する諸原則を論じなさい。
1.はじめに
他国で犯罪をおかし自国内に滞在する者を他国からの請求に応じて追訴、処罰するために引き渡す
ことを犯罪人引渡し(extradition)という。一般国際法上、国家には犯罪人引渡しの義務は課せられてお
らず、引渡しは犯罪人引渡条約に基づき行われている。
2.伝統的犯罪人引渡条約の基本原理
(1)相互主義の原則
伝統的な犯罪人引渡制度は、犯罪必罰の要請を実現するために「相互主義」(reciprocity)と「主権原
理」(principle of State sovereignty)に基づいて行われる。すなわち、犯罪の防止と処罰という要請を実
現するために、諸国は犯罪人引渡条を締結し、または条約がない場合には、国際礼譲に基づいて司
法的協力によって犯罪人の引渡を相互の間で行ってきた。ただし、条約がなければ引渡の義務はなく、
引き渡すかどうかは任意の合意によって行われるにすぎない。一般に引渡対象となる犯罪は、重大犯
罪に限定され、軽微なものは除外される。さらに、請求国と被請求国の双方の刑法で同等の刑罰を科
せられるものに限られる...