系列学習
序文
人は、多種多様な情報を活用しながら日常生活を送っている。情報を得てすぐに利用する場合もあるし、ある程度の時間のその情報を覚えていて、後の行動に役立てるという場合もある。後者の場合、一般的な意味での記憶の必要とされる状況だといえる。記憶に関しては、必要な情報であっても覚えておけなかったり、ある物事は思い出せるのにそれに似た他のことは思い出せなかったりするという現象を、多くの人が日常的に体験していることだろう。記憶とは、人が生活する上で必要不可欠なものである。そして、この記憶に関する問題は、ギリシャ哲学から続く大きなテーマの1つである。心理学の他の領域と同じように、記憶の実験に真剣に取り組まれるようになったのは最近のことで、エビングハウス(H.Ebbinghaus)が1885年に「記憶について」(Uber das Gedachtnis)が刊行されて以来である。(森 1995) 彼はある観念から別の観念へと次々に連想が生じるのは、観念と観念が連合しているからだと考えた。そしてこの連合は2つの観念が時間的・空間的に接近して生起することによって形成されると考え、そのような連合が形...