創作童話作家としてのアンデルセンについてまとめなさい。 ハンス・クリスチャン・アンデルセン(一八〇五~一八七五)は、貧しい靴直しと、ほとんど読み書きの出来ない洗濯女の息子として、デンマークの田舎町オーデンセに生まれる。 子どもの頃から彼は変人であった。大人になる頃には虚栄心が強く我が儘で、荒々しい想像力と心気症、空くことを知らない野心に嘖まれているという変人ぶりであり容姿も不恰好だったのだが、自らの性格や容姿は一種の超自然的な奇才だからなのだろうと信じて疑わなかった。 多くの挫折を乗り越えた彼が世に認められたのは、イタリアを旅して構想した小説『即興詩人』によってであった。この作品で一躍脚光を浴びたアンデルセンは、世界のあらゆるものに複雑な人間らしい個性である「意識」が存在するという独自の考えから、その僅か一月後に処女童話集『子どものための童話集』を発表した。そこには表現にもプロットなどにも何ら束縛がされていないことから、現在ではこのアンデルセン童話集『子どものための童話集』が創作童話の誕生と言われている。 児童文学では、十九世紀前半にはじまるアンデルセンの仕事が同世紀後半、特に...