ジェンダーという言葉は、1960年代後期の性をめぐるフェミニスト理論や政治運動の中から、社会的な位置づけとしての性を生物学的な身体の性(sex)と区別して示す単語として誕生したとされている。では、なぜ生物学的な性別の差と社会的な性の区別の考え方であるジェンダーという概念が生まれたのか、考えてみたい。
性別というものは、生物学的に明らかに違いがある。例えば出産は女性にしかできないものであるし、身体構造については、個人差はあるが、男性の方が筋力は強く体が大きい。
このように生物学的に明らかな性別の違いの他に、普段の日常生活を送るうえで意識の中で「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」のようなことを分けていることが多くある。
その代表的な例として、仕事は男性が中心となって家族の収入源になり、女性は家事を引き受け、家庭を守るという性別分業モデルがある。他にも外見からも、「男らしい」「女らしい」と区別する要素がある。このように法的に強制されているわけではないのに、男性、女性を区別して表す考え方が非常に多くみられる。これらの社会的・文化的につくられた性差が性差別を生み出してしまう危険性がある。そ...