同じ状況、事柄を異なる表現で言い換えができるかという問いに対する私の答えはこうである。広い意味では言い換えは可能であるといえる。しかし、全く同じ意味内容を表す表現もあれば、厳密に言えばその詳細、ニュアンスが異なってくる表現もあるといえよう。今回は、いくつか簡単な英文を例に出して、以上のことについて述べてみたい。では、以下の例を見てみよう。
? The letter was written by Mary yesterday.
? Mary wrote the letter yesterday.
? の場合は”the letter” が主体となっている。一方?の場合は”Mary”が主体となっている。つまり、受動態で表現するか、能動態で表現するかの違いである。「その手紙はメアリーによって昨日書かれたものだ。」というのが?の直訳であるが、この日本語訳から?の英訳を導き出すことは可能であるし、その英訳が必ずしも誤りであるとはいいきれない。つまり広い意味では言い換えは可能ということである。ここで?の文における状況を考えてみよう。机の上に手紙がおいてある。それを手にとり見てみると、昨日メアリーが書いていた手紙であることがわかった。その瞬間、?の英文のようにその手紙は昨日メアリーによって書かれたものだということがいえる。では?の場合はどうであろうか。昨日メアリーがその手紙を書いたという行為自体が着眼点となっているようにとれる。同じように”the letter” について表現しているのであるが、使われる状況は異なるであろうし、その詳細に違いが生じてくるだろう。
では、その他の例をあげてみよう。
? Mary wrote a letter to Kei.
? Mary wrote Kei a letter.
この場合、上の二文の意味は同じであるといえる。単に、目的語の順序が異なるという点が異なるだけである。強いて言えば、“Kei”人と”a letter”物のどちらをより強調したいかによる順序の違いである。
次のような場合はどうだろう。
Mary bought some eggsat a supermarket.
At a supermarket, Mary bought some eggs.
社会言語学
同じ状況、事柄を異なる表現で言い換えができるかという問いに対する私の答えはこうである。広い意味では言い換えは可能であるといえる。しかし、全く同じ意味内容を表す表現もあれば、厳密に言えばその詳細、ニュアンスが異なってくる表現もあるといえよう。今回は、いくつか簡単な英文を例に出して、以上のことについて述べてみたい。では、以下の例を見てみよう。
The letter was written by Mary yesterday.
Mary wrote the letter yesterday.
の場合は”the letter” が主体となっている。一方②の場合は”Mary”が主体となっている。つまり、受動態で表現するか、能動態で表現するかの違いである。「その手紙はメアリーによって昨日書かれたものだ。」というのが①の直訳であるが、この日本語訳から②の英訳を導き出すことは可能であるし、その英訳が必ずしも誤りであるとはいいきれない。つまり広い意味では言い換えは可能ということである。ここで①の文における...