(2005年07月16日 朝日新聞朝刊)
保護期間延長で、埋もれる作品激増? 著作権は何を守るのか
著作権法改正論議が進んでいる。iPodなどの音楽プレーヤーやパソコンへの課金問題が注目されているが、このテーマの後に、もう一つの大きな課題が控えている。現在、作者の死後50年となっている著作権保護期間を、70年に延長するという内容だ。それがどんな影響をもたらすのか。書籍の著作物を例に現状を調べると、大きな疑問が浮かんできた。(丹治吉順) 保護期間が終わった著作物は誰でも自由に出版したり公開したりできる。開設8年目の「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)はその代表だ。著作権の切れた本をインターネットで無料公開、1日7000~8000件の利用がある。 夏目漱石や森鴎外ら文豪の作品のほか、海野十三の冒険小説、中里介山の「大菩薩峠」、現在入手できない小熊秀雄全集(入力進行中)など約5000作品を収録。約600人のボランティアが入力・校正に携わっている。 専用閲覧ソフト「azur(アジュール)」では縦書き表示に対応し、文字の大きさを自由に変えられるうえ、白丸・黒丸・...