本レポートの課題は、幼児期までの自己の発達についてまとめることであるが、まず、自己とはいったいどのようなものであるのかについて述べることにする。
自己というのは言うまでもなく自分のことであるが、その自己を認識する時にはふたつの自己が存在する。ひとつは、自分についてみたり考えたりする主体としての自己であり、もうひとつは、見られたり考えられたりする対象としての自己である。
本レポートでは、主体としての自己、対象としての自己がいつ頃発生し、幼児期までどのように発達するのかを述べ、そのような自己認識から自己制御についても述べていくことにする。
自己の発見と自己認識の始まり
まず、子どもはいつごろから自己認識をし始めるのだろうか。
身体的な自己の発見という意味では、乳児を観察すると、乳児はよく自分の手を目の前においてじっと眺めたり、自分の手や足をなめたりかんだりする行動がよく見られる。このような行動は、まだ自分の手足は自分のものであるという認識ではなく、外界にある他のものと同じようなものであるとの認識がされていることからくる。このような時はまだ自と他の境界が未分離の状態であることがいえる。
生後、五感をフルに活用した様々な感覚運動経験の積み重ねによって、漠然と自分に属する部分とそうでないものがあることを知りはじめる。自分で自分を刺激したときと、他者から刺激を受けて生じる感覚との異なる感覚経験や、飢えや渇きなどの内部感覚も自己に注意を向けさせることになる。
身体的に自己と他者の分化がはっきりし、また、他者とのかかわりを経験していくと、他者がどのような気持ちでいるのか、他者から自分がどう見られているのかを考えていくようになり、自分に眼差しを向けるもう一人の自己が形成されていく。
幼児期までの自己の発達について
本レポートの課題は、幼児期までの自己の発達についてまとめることであるが、まず、自己とはいったいどのようなものであるのかについて述べることにする。
自己というのは言うまでもなく自分のことであるが、その自己を認識する時にはふたつの自己が存在する。ひとつは、自分についてみたり考えたりする主体としての自己であり、もうひとつは、見られたり考えられたりする対象としての自己である。
本レポートでは、主体としての自己、対象としての自己がいつ頃発生し、幼児期までどのように発達するのかを述べ、そのような自己認識から自己制御についても述べていくことにする。
自己の発見と自己認識の始まり
まず、子どもはいつごろから自己認識をし始めるのだろうか。
身体的な自己の発見という意味では、乳児を観察すると、乳児はよく自分の手を目の前においてじっと眺めたり、自分の手や足をなめたりかんだりする行動がよく見られる。このような行動は、まだ自分の手足は自分のものであるという認識ではなく、外界にある他のものと同じようなものであるとの認識がされていることからくる。このような時はまだ自と他の境界が未分離...