戦略的経営の非営利組織への運用可能性について
近年は、社会的使命の実現を目的とする非営利組織(NPO)の倒産も珍しくなく目にしている。営利企業の経済状況が赤字で倒産するのは当然のことであるが、利益を目的としない非営利組織の倒産はなぜ起きたのか。
日本では、1995年の阪神淡路大地震を契機として市民活動団体が活躍され、1998年にはその活動を支えるための「特定非営利活動促進法」(NPO法)が成立された。その後、NPOに対する社会の関心は大きな高まりを見せ、2004年12月まで19963(データは内閣府ホームページ参考)のNPO団体がNPO法を認証された。その一方、NPO団体は大きな危機に襲われている。危機としては、政府のNPOに対する財政支出の削減や評価の厳格化、営利企業との競争の激化による財政・経済的危機、そして、公的な制度や市場競争に組み込まれることによるNPOとしての自立性あるいはアイデンティティの危機などをあげることができる。NPOは社会的使命(mission)に基づいて、財・サービスを供給することを利潤追求より優先しているが、政府の補助金が減少されつつある現実に向けて、利潤追求...