会社法(株主総会決議の取消しを求める訴え・議案提出権・議決権保有要件・基準日)
一.①の決議の効力の争い方
Aは①の決議と内容を異にする議案の提出権(会社法305条)を行使したにもかかわらず、招集通知にAの議案は記載されることなく株主総会は招集され、①が決議された。そこで、Aが①の決議の効力を争う方法として、招集手続が法令に違反していることを取消事由として決議取消の訴え(831条1項1号)を提起することが考えられるが、これが認められるか問題となる。
二.Aによる議案提出権行使
まず、Aに議案提出権が認められるかについて検討する。X株式会社は1万2千株の公開会社であるが、うち2千株は自己株式であり、議決権を有しない(308条2項)。よって、総株主の議決権は1万株となり、そのうちXは3年前から100株を有している状態である。議案提出権についての特別な定款の定めについて記載もないことから、Aは総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6ヶ月前から保有していることになり、この時点においてAは議案提出権を有する(305条1項)と認められる。
次に提出権が適法に行使されたかについて検討する。まず、...