日本の境界問題―東シナ海の境界をめぐる問題―
はじめに
排他的経済水域の200海里水域概念に反対してきた日本は、1976年にソ連が200海里漁業水域を設定したことにより、翌年1977年に「漁業水域暫定措置法」を制定した。その後、国連海洋法条約を批准し「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」を実施したが、中国、韓国、ロシアといった隣国とはいずれも排他的経済水域または大陸棚の境界が画定していない。島国である日本は陸続きの国境を有していないが、これら境界画定問題は国境問題に匹敵するものであり、領土問題にも関連する。
しかし、日本の海洋に対する甘さや、「配慮」好きな日本人らしい何とも遠慮がちな姿勢が、国際社会の流れに乗れず、大きな問題を引き起こしている。「何か起きてから」行動する日本は、そのわりに臨機応変さに欠け主張もできないため、損をしていることが多くある。たとえ国際社会から孤立しても200海里に反対してきた姿勢は一体どこへ行ってしまったのか。現在の海洋権益は漁業だけでなく、地下資源や安全保障など日本がその主権を主張すべき理由がより強大になっているはずである。
そこで、境界と海洋権益...
はじめに
日韓大陸棚協定
日中間の境界主張の相違
東シナ海の調査、開発をめぐって
まとめ