徒然草を読み進めていくと、兼行の価値観が段々と分かってくる。兼行自身の価値観が論じられている段、欲を否定し論じている段、兼行が本当に価値を置いているものを論じた段など、価値観を論じている段は非常に多い。これらの段を要約し、キーワードだと私が考える三つの言葉と重ねながら、吉田兼行の価値観についてを考えてみた。
?『欲』
徒然草における兼行の価値観で最も重要となるキーワードは『欲』である。これは兼行の『欲』という訳ではない。俗世間に溢れている『欲』の否定である。
第三十八段を例にあげてみる。この段の最初の一文にはこのような事が書かれている。名誉や利益を追い求め、静かな時間を過ごさず、一生を苦しみながら送るのは愚かである。つまり兼行は名誉や金銭を追うことは愚かであると述べたのである。この名誉欲、そして金銭欲の否定は第三十八段では更に続いていく。
財産が多ければ多いほど、自分の身を守ることは難しくなる。財産とは害や災いを招く元である。財産とは愚かな人の目を楽しませるだけのものであって、つまらないものだ。金は山に捨て、玉は淵に投げてしまうのが良い。利益に惑わされるということは、とても愚かなことなのである。
このように兼行は金銭などを欲したり、他人の財産を羨むような事は一切書いていない。
金銭を欲するという事自体が愚かであると兼行は述べているのだ。もう一つ、名誉欲について第三十八段のこの続きに書かれている。
自分の名を長く後の世まで残したいと望む人がいるが、位が高い人だけが優れた人という訳ではない。愚かな人でも、良い家に生まれさえすれば、高い位に昇る場合もある。逆に優れた賢人、聖人が自ら低い位にとどまる場合もあれば、高い位につきたくてもつけずに終わってしまう場合も多い。高い官位を望むことも利益を求めることの次に愚かなことなのである。
徒然草における吉田兼行の価値観
徒然草を読み進めていくと、兼行の価値観が段々と分かってくる。兼行自身の価値観が論じられている段、欲を否定し論じている段、兼行が本当に価値を置いているものを論じた段など、価値観を論じている段は非常に多い。これらの段を要約し、キーワードだと私が考える三つの言葉と重ねながら、吉田兼行の価値観についてを考えてみた。
①『欲』
徒然草における兼行の価値観で最も重要となるキーワードは『欲』である。これは兼行の『欲』という訳ではない。俗世間に溢れている『欲』の否定である。
第三十八段を例にあげてみる。この段の最初の一文にはこのような事が書かれている。名誉や利益を追い求め、静かな時間を過ごさず、一生を苦しみながら送るのは愚かである。つまり兼行は名誉や金銭を追うことは愚かであると述べたのである。この名誉欲、そして金銭欲の否定は第三十八段では更に続いていく。
財産が多ければ多いほど、自分の身を守ることは難しくなる。財産とは害や災いを招く元である。財産とは愚かな人の目を楽しませるだけのものであって、つまらないものだ。金は山に捨て、玉は淵に投げてしまうのが良い。...