一、はじめに
『万の文反古』の中にある数々の作品の中で一番印象に残ったものは「安立町の隠れ家」だった。武士の、それも敵討ちをするべく暮らす二人の兄弟の話が、現在の敵討なんてものは考える気も起きない世界で暮らす私にとって大きな不思議となった。
その不思議を考えているうちに江戸時代の武士はどのような生活を送っていたのか、何を学んでいたのか、敵討とは厳密に言えばどういうものなのだろうか、といろいろな疑問が浮かび上がってきた。そこで私は現在の一般人における生活と江戸時代における武士との生活では、どのようにどこまで違うものなのかを考察していきたいと思う。
二、教育
まずは最も違いが大きいとされる学問・教育について考えていく。
現在の日本では教育を受ける機関で一番初めに子供が入るところといえば幼稚園か保育園であろう。幼稚園は三歳から5歳の小学校入学前まで。保育園は0~一歳から小学校入学前まで。となっている。幼稚園は文部科学省所管の学校であり、大学までの教育体系の中の一環として組み込まれている。保育所は厚生労働省所管の児童福祉施設である。ついで義務教育の小学校、中学校、今ではほとんど...