「子どもが成長するとともに美術から離れていく原因をさぐり、今日の美術教育の課題について、項目をたてて述べなさい。」
美術離れの原因の1つ目は、評価への不信である。これは、教師の頭の中に「こんな絵を描いて欲しい」というような一定のイメージ、いわゆる模範解答のようなものが存在し、そのような作品に仕上がるように誘導的な指導をしてしまうということである。この評価は子どもの思い描く作品に近づけたかという評価ではなく、教師が思い描く「良い作品」に近づけたかという評価になる。教師が望むことを描かなくてはならないのならば、子供はその評価に不信を覚えるだろう。
2つ目は、技術面への不満である。美術教育において、自由な環境の中で自由に表現することが重視されており、技術の訓練や知識の記憶が目的でないという考え方がいつの間にか、「自由に自己表現させていればよい」「知識や技術の指導はしてはいけない」といった誤解を招いてきたのである。あるがまま、おもいのまま自己表現を保障することイコール技術指導の放棄とはならない。なぜなら美術は、人間の内面的なイメージに色と形を与え、現実界に実像として具現させる営みである限...