1.はじめに
霊長類は一般に、指の形と口の形がその動物の主食と関係しているという考えをご存知だろうか。このことは「口と手の形は、その主食によって決められる」と言い換えることもできる。このことは、ヒトにも適用できるのではないだろうか。つまり、ヒトの手の形と口の形を分析することによって、この手と口が形成された頃の人類、初期の人類が何を食べていたかを明らかにできるのではないだろうか。
2.人類の体の特徴
哺乳動物が小型でも大型でもないという境界線上で生きてゆくためには、特別な生き方をしなければならない
だいたいにおいて大型種には植物の葉、小型種には果実や昆虫といった無尽蔵の食物供給源があるが、この中間的な体重クラスの哺乳類にはそういういわば指定席のようなものが無い(ウシ科はどうも別のようで反芻胃による草の効率的な消化は中間クラスの体重でも草で生きていける方法を開発している)。
他の哺乳類がすでにやってしまっているようなことをしたのでは、生きてゆけない。
彼らはタイリクオオカミのようにある特定の食料を求めて長距離を移動したり、チーターのように例外的に速いスピードで走ったり、ヒョウのように飛び上がったり、ツチブタのように固い地面を掘ったりしなくてはならない。彼らはあたらしい生態学的地位、ニッチをつくりだした。新しいニッチの開発は新しい食物の開発とその食物を食べられるようにした体の形、霊長類では口と手の形が出来上がることとセットになっているようだ。
サルたちにとってはまず、空腹を満たさなければならないからである。では、人類の手と歯は何を主食にするための道具なのか。
3 人の歯と手の特徴
3-1 人の歯の特徴
初期の人類の骨格や、骨格以外の推測に過ぎないが、有力だと思われる初期の親類の体の特徴から初期の人類の主食になりうるものの条件を探っていきたいと思う。
人類の身体特徴―初期人類の主食はなにか―
1はじめに
霊長類は一般に、指の形と口の形がその動物の主食と関係しているという考えをご存知だろうか。このことは「口と手の形は、その主食によって決められる」と言い換えることもできる。このことは、ヒトにも適用できるのではないだろうか。つまり、ヒトの手の形と口の形を分析することによって、この手と口が形成された頃の人類、初期の人類が何を食べていたかを明らかにできるのではないだろうか。
2人類の体の特徴
哺乳動物が小型でも大型でもないという境界線上で生きてゆくためには、特別な生き方をしなければならない
だいたいにおいて大型種には植物の葉、小型種には果実や昆虫といった無尽蔵の食物供給源があるが、この中間的な体重クラスの哺乳類にはそういういわば指定席のようなものが無い(ウシ科はどうも別のようで反芻胃による草の効率的な消化は中間クラスの体重でも草で生きていける方法を開発している)。
他の哺乳類がすでにやってしまっているようなことをしたのでは、生きてゆけない。
彼らはタイリクオオカミのようにある特定の食料を求めて長距離を移動したり、チーターのように例外的に速いス...