手術体位と呼吸への影響
手術を受ける部位に応じて,手術中はさまざまな体位がとられるが,自身の体重によって胸郭の運動が抑制されるため,肺活量あるいは呼吸量は体位で大きな影響を受ける。
側臥位では,下になったほうの肋骨は圧迫されて運動に制約を受けるが,反対に横隔膜の運動は代償的に増大する。
これに対して,上側になったほうでは,肋骨運動はなんらの制約も受けない。さらに全身麻酔下では,気管内分泌物が低い側に流れて無気肺を生じることがある。
また,体位を固定するにあたり,腹部が自由でないと横隔膜の動きが制限される。
砕石位(裁石位)でも,横隔膜の運動制限のために肺活量は15~20%減少し,頭部低位ではさ...