うつ病と薬
【はじめに】 “自由化”の波が押し寄せてきています。“自由”という言葉自体は、私たちの心の中に不可侵なもの、素晴らしいものという印象があり、何かにつけ“自由”という言葉が含まれていれば、それは“正しい”あるいは“仕方がない”という印象すら受けてしまいますね。表現の自由、報道の自由、選択の自由…などなど。 しかし、現在の社会の流れの中での“自由化”というのは、まさに“弱肉強食”の世界。大きな者が小さな者を呑み込んでしまう自由とでも申しましょうか。利益追求、自分たちが生き残るためなら何でもあり…の社会に、私には見えます。 のっけから話がそれているようですが、こうした社会だからこそ、メンタルな部分での症状があらわれやすいということは言えるでしょう。今回のテーマでとりあげる「うつ病」は、まさしく現代社会の歪みと、大きな関係があります。…と同時に、ありふれた病気でもあるのです。人が生涯でうつ病に罹患する可能性は10%、あるいはそれ以上とされる報告も読んだことがあります。WHOでは3~5%のうつ病患者がいると発表したこともあるそうです。うつ病とまではいかなくても、一歩手前のうつ状態と...