冷戦終結から10年が過ぎ同時多発テロからアフガニスタン戦争、イラク戦争を経て唯一の超大国アメリカの一極構造という世界秩序の姿が明らかになってきた。いまや軍事力をはじめとしてアメリカの力は全世界に及び、「ローマ帝国以来、最強の国」といわれている。
「しかし、そのような考えは傲慢に過ぎない」とジョセフ・S・ナイ教授は「アメリカへの警告―21世紀国際政治のパワー・ゲーム」で主張する。教授によればアメリカはそれほどまで強くないし、さらに軍事力や経済力といった従来の「ハードパワー」だけではどうにもならない国際情勢となっているのだ。それとともに国家にとっての脅威や国際紛争への対処の仕方も私たちは考え直さなければならない。
ここ十年における世界の変化の中で最大のものは技術においては情報革命であり、社会においてはグローバル化の進展であった。これらによって実現したこととは第一に近代以来国家に集中してきた力が国家以外の個人や組織に分散し始め逆に個人や国家ではない集団が国家に大きな力を及ぼすようになって来たことである。私たちは世界のどこにでも移動することができるし世界中の出来事を瞬時に知ることができる。第二に国際的相互依存が高まって一国の出来事がすぐに他国に影響を与えるとともに一国だけでは解決できない問題がでてきたことである。金融危機や環境問題がこれらにあたる。
21世紀の国際紛争にいかに対処するか
冷戦終結から10年が過ぎ同時多発テロからアフガニスタン戦争、イラク戦争を経て唯一の超大国アメリカの一極構造という世界秩序の姿が明らかになってきた。いまや軍事力をはじめとしてアメリカの力は全世界に及び、「ローマ帝国以来、最強の国」といわれている。
「しかし、そのような考えは傲慢に過ぎない」とジョセフ・S・ナイ教授は「アメリカへの警告―21世紀国際政治のパワー・ゲーム」で主張する。教授によればアメリカはそれほどまで強くないし、さらに軍事力や経済力といった従来の「ハードパワー」だけではどうにもならない国際情勢となっているのだ。それとともに国家にとっての脅威や国...