総合型地域スポーツクラブの求められる背景と意義

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    資料紹介

    スポーツは、他者との約束ごと(ルール)によって成り立っています。ルールを共有することで、スポーツが可能となります。
     人々が社会で気持ちよく暮らして行くためには約束ごとが欠かせません。人々は約束ごとでコミュニケーションを成り立たせ、それを成り立たせるシステム全体を「文化」と呼んでいます。しかし、社会の急激な変化によってその「文化」が揺らいでいます。地域の絆、人と人との絆の喪失など、地域社会はさまざまな課題を抱えています。子どもの体力低下も深刻な問題であり、大人にとっても、生きがいや健康づくり、医療費の増大も切実な問題です。
     身体を動かし、コミュニケーションを伴うスポーツだからこそ出来ることがあります。
     スポーツのもともとの意味は「気晴らし・遊び」です。外来語のスポーツは今日まで、いろいろな意味をもって使われてきました。スポーツのもつ価値は決して一つではありません。「スポーツマンシップ」や「フェアプレー」などといった今日当たり前のものでも、19世紀のイギリスのジェントルマンという上流社会の人々の考え方でつくられたものです。
     同じようにスポーツにつきものの競争も約束ごとの一つに過ぎません。スポーツは競争することだけに意味があるのではありません。仮に1着でゴールしても、そこにライオンがいれば真っ先に襲われてしまう、そんなこともあります。
     21世紀の日本、固定的な考え方にとらわれずに、やわらかい発想でスポーツについて考えてみませんか。

    資料の原本内容

    総合型クラブが求められる背景と意義
    スポーツを楽しんでいますか?
    県民の成人のみなさまへのアンケート結果を見てみますと、3人のうち2人はスポーツに興味関心
    をお持ちで、そのうち1人は週1回以上スポーツを行っている、もう1人はやりたいけど機会がない、
    機会があったらやってみたい、という回答でした。
    みなさんはいかがですか?
    今、満足しているとおっしゃられる方々でもご家族の方々はいかがでしょうか、大切な方々も同じ
    ようにスポーツを楽しまれているでしょうか。家族一緒に、好きな人と一緒にスポーツを楽しめたら
    素晴らしいですね。いや、それが当たり前なのかも知れません。
    ところが、現状はどうでしょうか。
    子どもはスポーツする子としない子の二極化が進んでいます。スポーツする子は何種目でもしま
    すが、しない子はまったくしないといった状況です。遊び場が無かったり、安全の問題もありますの
    で、家の外で身体を動かす機会がほとんどないようです。
    小学生から高校生までのスポーツ環境は学校単位、年齢分断型と言われます。スポーツ少年団、
    学校運動部活動は地域や学校によって、種目数が限られてしまいます。必ずしも、好きな希望する種
    目を選べるとは限りません。また、
    「卒団」「卒部」「引退」といった言葉があるように、ある時期を
    境に線引きがなされ、以降は後輩たちに任せ、自分たちの活動する場はなくなってしまいます。
    運動部活動に所属しない中・高校生にとっては、スポーツをする機会はさらに限られてしまいます。
    地域のサークル・クラブでも多くはメンバーの固定化・高齢化が進み、活動がマンネリ化、停滞
    気味といった悩みを抱えているケースも少なくありません。
    このように、子どもに限らず、地域で気軽にスポーツを楽しめる環境にはなっていないのが現状
    です。
    確かに、身体を動かすことや、スポーツをすることは個々人の問題ですので、一人でも出来ます。
    散歩やテニスの壁打ちを楽しみ、フィットネスクラブやスポーツジムで汗を流すこともできます。
    しかし、スポーツの楽しさについてもう一度考えてみてください。
    何が浮かんでくるでしょうか‥‥。
    その多くは、価値を共有できる仲間があってこそのものではないでしょうか。
    想像してみてください。青空の下、独り汗を流す横で子ども達が無言で電子ゲームに没頭していた
    ら‥‥。

    スポーツだから出来ること
    スポーツの楽しみ方は、何も特別なことではないでしょう。さまざまな趣味でも同じように楽しみ、
    人生に彩りを添えることが出来ます。
    しかし、スポーツだから出来ること、スポーツにしか出来ないこともあります。
    スポーツは、他者との約束ごと(ルール)によって成り立っています。ルールを共有することで、
    スポーツが可能となります。
    人々が社会で気持ちよく暮らして行くためには約束ごとが欠かせません。人々は約束ごとでコミュ
    ニケーションを成り立たせ、それを成り立たせるシステム全体を「文化」と呼んでいます。しかし、

    社会の急激な変化によってその「文化」の足元が揺らいでいます。地域の絆、人と人との絆の喪失な
    ど、地域社会はさまざまな課題を抱えています。子どもの体力低下も深刻な問題であり、大人にとっ
    ても、生きがいや健康づくり、医療費の増大も切実な問題です。
    身体を動かし、コミュニケーションを伴うスポーツだからこそ出来ることがあります。
    スポーツのもともとの意味は「気晴らし・遊び」です。外来語のスポーツは今日まで、いろいろな
    意味をもって使われてきました。スポーツのもつ価値は決して一つではありません。「スポーツマン
    シップ」や「フェアプレー」などといった今日当たり前のものでも、19 世紀のイギリスのジェント
    ルマンという上流社会の人々の考え方でつくられたものです。
    同じようにスポーツにつきものの競争も約束ごとの一つに過ぎません。スポーツは競争することだ
    けに意味があるのではありません。仮に1着でゴールしても、そこにライオンがいれば真っ先に襲わ
    れてしまう、そんなこともあります。
    21 世紀の日本、固定的な考え方にとらわれずに、やわらかい発想でスポーツについて考えてみま
    せんか。
    総合型クラブとは、地域のスポーツ環境をより充実させ、将来にわたってスポーツを楽しめる環境
    づくりを目指し活動している非営利目的のクラブです。
    国のスポーツ振興基本計画では平成 22 年度までに、全国の市区町村に少なくとも一つの総合型ク
    ラブを育成することを目標にしています。将来的には、小学校区程度の地域に一つの総合型クラブが
    望ましいとされています。
    総合型クラブの特徴としては、多種目、多世代、多志向があげられていますが‥‥、決してこの全
    てを満たさなければならないということではありません。あくまでも理想のかたちです。
    生涯を通してスポーツを楽しむには、幅広い年代層に対応していること、子どもからトップアスリ
    ートまでつながる一貫指導も重要な要素です。
    一つの種目のクラブであっても小学生、中・高校生、大人、高齢者の方々までそれぞれに楽しめれば、
    家族や地域での会話にも花が咲くことでしょう。「引退」せざるを得なかった子ども達も、継続して
    活動することができます。
    クラブのメンバーが国民体育大会で活
    躍し、日本チャンピオンに、そして地域・
    クラブの代表として世界へ羽ばたき、オリ
    ンピックでメダル!

    ワクワクするような

    夢です。ゆくゆくはクラブの指導者となり、
    続く世代を育てる。夢は尽きることはあり
    ません。
    そんな夢を語りながら、夢をかなえる日
    が現実に来るのかも知れません。
    みなさんはどんな夢、クラブのかたちを
    描きますか。
    (クラブ育成アドバイザー

    渡邉昌史)

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