事実認定に関する基本的事項(故意の認定、近接所持の法理)
☆自由心証主義
・自白を強要しないため⇒自白以外であれば状況証拠で認定するしかない
→これを認定するルールとしての自由心証主義
【資料1】被告人が殺意を否認している場合の殺意認定
【広島高岡山支判平19・8・8】LX/DB28135457
(前略)
論旨は,要するに,原判決は,罪となるべき事実第1として,被告人が,平成18年7月17日午前11時10分ころ,岡山市内のA方玄関付近において,A(当時58歳)に対し,殺意をもって,所携の包丁でAの左前胸部を1回突き刺し,左前胸部刺切創の傷害を負わせ,これに基づく失血及び心タンポナーデにより死亡させて殺害したとの事実を認定判示したが,被告人には確定的殺意はもとより,未必的殺意も認められないので,確定的殺意による殺人の事実を認定した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるというのである。
そこで,原審記録及び証拠物を調査すると,原判決挙示の関係証拠によれば,被告人のAに対する確定的殺意に基づく殺人の事実を認定した原判決は,そ...