177条の「第三者」とはいかなる者をいうか。94条2項や96条3項などの「第三者」については、それぞれの制度や趣旨に応じて、その範囲が限定されているところ、177条の場合も限定されるのか問題となる。
この点、177条の文言を卒然と読むと、「第三者」に何の制限もついていないから、「第三者」には当事者とその包括承継人以外のものをすべて含むとする説がある(無制限説)。
しかし、このように考えると、たとえば、不法行為者や無権利者に対しても真の権利者は登記がなければ所有権を主張できないという不合理な結果を生じるため、妥当ではない。
思うに、177条の「第三者」についても、制限をおく必要があり、「第三者」とは、登記の欠を主張するにつき、正当の理由を有するものをいうと解すべきである(制限説)。
それでは、「第三者」の主観的態様として、悪意者も177条の「第三者」に含まれるのであろうか。
思うに、177条は善意・悪意を区別していないし、悪意者も保護されるとすれば悪意者からの譲受人も保護され、取引の安全に資する。
民法課題レポート 18
1.問題
民法177条における「第三者」の範囲について論ぜよ。いわゆる背信的悪意者論における諸問題
ついても論じること。
2.回答
177条の「第三者」とはいかなる者をいうか。94条2項や96条3項などの「第三者」につ
いては、それぞれの制度や趣旨に応じて、その範囲が限定されているところ、177条の場合も限
定されるのか問題となる。
この点、177条の文言を卒然と読むと、「第三者」に何の制限もついていないから、「第三者」
には当事者とその包括承継人以外のものをすべて含むとする説がある(無制限説)。
しかし、このように考えると、たとえば、不法行為者や無権利者に...