社会福祉援助の技術と援助過程について

閲覧数1,740
ダウンロード数63
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 全体公開

    タグ

    資料の原本内容

       「社会福祉援助の技術と援助過程について」
     社会福祉援助技術(ケースワーク)は高齢者や障害者など普段の生活が困難な人々の求めているニーズに応え、協力して解決法を探り、援助するための専門的な技術である。  その技術には大きく枠組みをつけると直接援助技術と間接援助技術があり、直線援助技術には個別援助技術(ケースワーク)と集団援助技術(グループワーク)が存在する。個別援助技術は主に面接を通して行われる。基本は援助者(ケースワーカー)とクライエント(利用者)の二人以上で行われ、集団援助技術はグループを形成して行われる。ここでは、社会福祉援助技術と共に展開過程を以下のように述べる。
     直接援助技術は、利用者自身への直接的な支援方法からなる個別援助技術と集団援助技術という2つの伝統的援助技術から構成されている。その内容は次のようになる。
    1. 個別援助技術とは、利用者がケースワーカーのいる機関をたずねるまたは訪問を受けるなどして個別に援助を受ける過程である。援助過程にはさまざまな例があるが、ここでは対人関係を基本とし、インテーク(受理)・調査・アセスメント(事前評価)・介入の4段階によって展開されるものを述べることとする。
     インテークは、利用者の抱える問題が社会福祉機関に持ち込まれる段階であり個別援助技術における最初の段階であるといえる。これにより、機関としてその問題をとりあげるべきかを決定し、次の段階へと移行する。
     インテークの結果により問題をとりあげるべきであると判断された場合、調査段階へと移行する。調査とは、利用者とその周囲の社会環境について必要な事実を収集する段階であり、利用者の心情の流れに沿うように情報収集を行うことが原則とされている。もし他から情報を収集しなければならない場合は、利用者の了解を得ることが必要不可欠となる。
     アセスメントとは、調査によって収集された事実を整理し分析することで、援助方法の見通しが立てられるように解釈していく過程のことである。この段階では、ケースワーカーの実力が問われることとなり熟練したケースワーカーの援助指導を受けることで、より正確なアセスメントへと近づけるよう常に努力することが求められる。
     介入は、近年の積極的な社会福祉実践活動の総称ではあるが、ここでは個別援助過程での援助活動に基づく処遇の実施段階の意味である。この過程は、援助活動の目標を達成することを焦点とする非常に重要な過程であるといえる。その手段は、利用者の抱える問題の特性や現状を見据え、面接を中心とする直接的な手法により利用者に直接働きかけることによってその適応能力を高めるとともに、問題解決のための動機づけ及び自立能力の育成のための援助を行うものである。
     2. 集団援助技術は、利用者がグループのプログラム活動に参加することにより相互作用の影響を受け個々が成長および発達するための援助過程を指すものであり、ここであげるのはグループワークの一例である、準備期・開始期・作業期・終結及び移行期の4段階によって構成されるものとなる。この内容は以下の通りである。
     準備期においては、利用者の問題とそれに対する援助方法の内容を明確にすることが重要となる。グループワーカーは、利用者の生活状況・感情・関心事・心配事などを把握及び理解し援助過程で起こりうる課題を予測することが必要とされる。
     開始期では、利用者を集団に溶け込ませることから始まり、集団の目的や援助活動の日時及び回数、期間の予定とそれに関する費用、プログラム活動の内容、利用者同士の役割分担などを確認し実施する援助活動が利用者の期待やグループワーカーに求める要求と一致しているかを確認する時期となる。
     作業期とは、利用者が存在する集団が発達する時期である。ここでは、集団内での個々の心理的交流により対人関係が強まり、集団の目的と個々の要求が一致し集団に対する魅力が増していくのである。これに伴い、集団行動独自の行動方法や考えが生まれるため、グループワーカーは集団内での個々の相互作用を把握し、利用者個人の具体的な目標を明確にすることが必要となる。
     終結及び移行期では、集団援助活動を終了させそれに対する評価をする。これにより、援助活動の意義や集団援助活動において学んだことから、援助後の利用者のアフターケアを計画する。
    2. 間接援助技術は、地域援助技術(コミュニティワーク)・社会福祉調査法(ソーシャルワーク・リサーチ)・社会福祉運営管理(ソーシャル・ウェルフェア・アドミニストレーション)・社会福祉計画法(ソーシャル・ウェルフェア・プランニング)・社会活動法(ソーシャルアクション)により成立している。この内容は以下のようになる。
     コミュニティワークは、地域社会に生じるさまざまな問題点を地域住民とともに組織的に予防及び解決し、地域住民が求める地域社会へと変えていくことを目標とする。そのため、地域の特性やその歴史、地域住民に対し実施するアンケート調査などから住民の意識及び共通する問題点を発見し、問題解決に必要となる事業・組織・財政計画などを立案する。これに伴い、広報活動を実施することで他の住民の協力体制を確立することも重要となる。このとき、政府や社会に対し福祉施策の確立や福祉制度の運用を求める社会活動法も同時に実行される。
     また社会福祉調査法とは、社会における社会福祉事業を直接調査し記述する過程である。この展開として、調査の枠組みの設定・調査手段の設定・調査票作成・予備調査・実施前の調査員への留意点確認・調査実施・データ集計整理及び分析・調査の正確性と信頼性の検討・結論・報告書作成、の順に行われる。
     社会福祉運営管理は、地域社会からのニーズに合う社会福祉行政及び施設などの合理的運営や管理のための技術である。ここでは、地域社会のニーズによって解決可能な問題点をあげるとともに、問題解決の必要性を地域住民に説き解決案を作成する。このために、計画の細分化を行い、全体から個人、長期目標から短期目標へといった積み重ね式に置き換えながら計画を実施していき、最後に達成度の評価を行うのである。
    3. その他の関連援助技術としては、伝統的な直接援助技術及び間接援助技術に対し、現代社会における情報などの重要性を改めて認識し、ネットワーク・ケアマネジメント・スーパービジョン・カウンセリング・コンサルテーションなどの社会福祉援助技術がある。これらは前述の援助技術を支援する方法及び組織、隣接科学の特徴を持つものであり、社会福祉援助技術やその活動体系の近年における飛躍的な変貌の支援的役割を持つ技術などがあげられる。これにより、年々多様化する利用者からの福祉ニーズや地域住民の抱える問題点に対しても、迅速に対応を行うことが可能となったのである。
     以上のように、さまざまな社会福祉援助技術により利用者及びその周囲の環境に対し安定かつ安心できるような生活を支援することが、福祉活動における重要な役割なのである。
    参考文献
    中島恒雄 『新・社会福祉要説』 ミネルヴァ書房2006                   
    8
                          R3E 木村 翼

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。