民法:夫婦の日常家事債務と代理

閲覧数5,299
ダウンロード数3
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1 本件において、A は、BC 間の売買の無効を主張し、C に対して甲不動産の返還と所有権移転登記の抹消を請求している。そのため本件ではC との関係で表見代理が成立するかどうかが問題となる。
    2(1) この点、考えられるのは110 条の表見代理であるが、そもそもB に基本代理権はあるのであろうか。AB が夫婦であることから問題となる。
    一般に、夫婦間では明示的・黙示的に代理権が与えられていると解される場合が多い。
    (2) そして、そのような事情がない場合においても、761 条を根拠として、夫婦の生活維持の便宜のために、夫婦相互に日常家事に関する代理権を認めるべきである。
    3(1) それでは、夫婦間の日常家事代理権の存在を前提として、それを基本代理権として110条の適用をすることができるか。
    (2) 思うに、110 条を直接適用することは、夫婦別産制を損なうから、認めるべきではない。
    そこで、当該行為の相手方である第三者において、その行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由があるときに限り、110 条の趣旨を類推して第三者を保護すべきであると解する(判例と同旨)。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    民法課題レポート 7
    1.問題
    Aの長期にわたる海外出張中に、その妻 Bは、Aに無断で、Aの実印と権利証を利用して、A所有の
    甲不動産を Cに売却した。
    ①帰国した Aは、BC間の売買の無効を主張して、Cに対して甲不動産の返還と所有権移転登記の抹
    消を請求している。この請求は認められるか。この請求が認められるとして、Cは誰に対して代
    金の返還や損害の賠償を請求することができるか。
    ②しばらくして Aは病気のため死亡し、Bとその子 Dが相続したが、間もなく Bが交通事故のため
    死亡して、Dが相続した。この後に、Dが Cに対して上記①と同様の請求をした場合はどうか。
    ③Aは海外出張に出かけるときに、Bに対して、生活費を捻出するために甲不動産を担保にして 1000
    万円を借り入れる代理権を与えていたとする。Bが、この代理権を用いて金融業者 E社から A名義
    で 1000 万円を借り入れ、甲不動産に抵当権を設定した。しかし、その借入金は全額 E社の代表者
    と遊興するための費用として浪費してしまった。Aの帰国後、AB間に不和が生じて離婚した。Aも
    Bも 1000 万円の借金を返さないの...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。