日本で本格的にテレビ放送がおこなわれたのは、NHK東京テレビ局が本放送を開始した、1953年2月のことだった。それから、3年後の1956年メルボルン大会では、フィルム空輸による時間差放送をおこなった。その4年後には、ローマ大会で、時間的には短いながらも、短波を利用したテレビ放送を行っている。
そして、さらに4年後の1964年の東京オリンピックでは、衛星中継の技術で、世界へ映像を送るようになっている。このことは、今までフィルムの空輸で時間のズレが生じ、臨場感を味わえなかったオリンピック放送を、決定的に変えたといっても過言ではないだろう。スポーツ中継に立ちはだかっていた、国境という壁を取り払ったのである。また、スローモーションビデオ技術の開発により、競技場での観戦とテレビ観戦とで、大きな違いを見出すこととなった。これは、「見るスポーツ」としての、テレビ観戦の始まりとも言える。会場での観戦と違い、選手の顔、記録などを見ることもできるし、解説も聞くことができるのでわかりやすいといったメリットが、テレビ観戦にはある。テレビ放送が本格的に始まってから、たったの11年という短い時間で、ここまで発展を遂げたことは、驚異である。これらのことから、東京大会はスポーツ報道の歴史に残る、記念すべき大会といえるのではないだろうか。しかし、これら技術の進歩で衛星中継が本格化されたことは、スポーツビジネスをも本格化させ、放送権の上昇を生み出すきっかけともなってしまった。
課題:オリンピックを伝えるテレビ中継技術の発達が、スポーツの発展に与えた影響について、1964年東京オリンピックとその後の「見るスポーツ」の地球的拡大を例に述べなさい。
日本で本格的にテレビ放送がおこなわれたのは、NHK東京テレビ局が本放送を開始した、1953年2月のことだった。それから、3年後の1956年メルボルン大会では、フィルム空輸による時間差放送をおこなった。その4年後には、ローマ大会で、時間的には短いながらも、短波を利用したテレビ放送を行っている。
そして、さらに4年後の1964年の東京オリンピックでは、衛星中継の技術で、世界へ映像を送るようになっている。このことは、今までフィルムの...