今、教育問題のひとつとして取り上げられている高校中退。この問題が私たちに問いかけているものとは何であろうか。
文部省調査による高校中退の理由をみてみると、「進路変更」「学校生活・学業不適応」「学業不振」などが挙げられている。中でも「空いているから行く」「もともと高校生活に熱意がない」といった「学校生活・学業への不適応」を理由とするケースが増えているのが特徴であるそうだ。
では、どうして「学校生活・学業不適応」が増えているのだろうか。文部省では「97%が高校に行く状況で、明確な目的意識を持たずに進学する子が増えているのではないか」と分析している。だが、これは子どもたちのほうに問題があるとみているものではないか。もし、実際にそう思っているのとしたら、それは間違った見方だと思う。
『教育改革―共生時代の学校づくり―』(藤田英典,岩波新書,1997)の中で藤田は以下のように述べている。
高校教育は義務教育ではないが、進学率が90%を越える水準に達したということは、高校に行かないという選択が実質的に難しくなったという意味で、教育が準義務化段階に達したということである。まわりのほとんどが高校に進学するなかで進学せずに別の道を選ぶということは、たとえば相撲の世界に入るというように、特別の積極的理由があるならともかく、そうでない場合非常に難しい。なぜなら、特別の理由がないのに高校に進学しない場合、成績が悪いにちがいないとか、なにか問題があるからにちがいないといった、スティグマ(負のレッテル)を貼られかねない状況が出現したことを意味するからである。その頃から、「明確な目的もないのに、まわりが行くから自分も行く」といった自主性のない進学者希望者が増えたと批判する議論がくりかえし聞かれたが、それは当事者の心理を理解しようとしない見方であるか、そうでなければ、きわめて理想主義的な見方である。
今、教育問題のひとつとして取り上げられている高校中退。この問題が私たちに問いかけているものとは何であろうか。
文部省調査による高校中退の理由をみてみると、「進路変更」「学校生活・学業不適応」「学業不振」などが挙げられている。中でも「空いているから行く」「もともと高校生活に熱意がない」といった「学校生活・学業への不適応」を理由とするケースが増えているのが特徴であるそうだ。
では、どうして「学校生活・学業不適応」が増えているのだろうか。文部省では「97%が高校に行く状況で、明確な目的意識を持たずに進学する子が増えているのではないか」と分析している。だが、これは子どもたちのほうに問題があるとみているものではないか。もし、実際にそう思っているのとしたら、それは間違った見方だと思う。
『教育改革―共生時代の学校づくり―』(藤田英典,岩波新書,1997)の中で藤田は以下のように述べている。
高校教育は義務教育ではないが、進学率が90%を越える水準に達したということは、
高校に行かないという選択が実質的に難しくなったという意味で、教育が準義務化段
階に達したということである。まわ...