過去から現在に至る商業の概念は、市場経済社会の交換形式の変遷とともに変化をしており、主に次の5つの学説をあげることができる。
まず交換即商業説だが、これは商業の概念規定としては最古の学説で、最広義の商業概念である。特性としては、商品交換の重要性及び生産者と消費者の直接交換を強調した点にある。背景としては、資本主義経済制度成立以前もしくはその初期の段階における生産者と消費者、団体的直接交換、余剰生産物の物々交換という原初的な直接交換様式を規定した学説である。交換即商業説を唱えている学者にアダム・スミスがおり、彼は商業を「直接に、あるいは貨幣または貨幣を代表する一種の紙幣の介在によって行われる粗製産物と製造物との交換である」と規定している。
次に再販売購入説について記述する。これは近世における交換形式を捉えたもので、商人商業説ともいわれている。都市経済時代の直接交換形式や自己の最終消費にあてるのではなく、単なる販売・購買でもなく、再販売を目的として購入する意識的・計画的・統一的活動を商業の本質とする学説である。生産・消費・商業という三つの経済現象に分けて、生産者の行う財貨の変形変質を目的と...