『盆の行事』について
『盆の行事』について
盆と彼岸
死者と先祖の供養の行事が盆行事である。彼岸の行事が垣内の道作りという共同労働や若者と老人の通過儀礼の場となっている反面、盆行事は特に死者や先祖の霊を供養するという色彩が濃厚である。そして、それらはいずれも家ごとの行事としての性格が強いようである。大字単位の行事が神社祭礼と稲作関連、垣内単位の行事が垣内寺の会式と祈祷および死者供養、という特徴が見出されるのに対して、盆行事は家ごとの行事と位置づけることができる。そして、それは死者と先祖の言魂への繊細で神経質なまでにていねいな共感と配慮という点が特徴的である。
盆の墓掃除
墓掃除は、それぞれの墓地ごとに、また垣内ごとに、男性が出て七月の最終日曜日に行なうという。墓の草刈りを行なったとき、以前は刈った草を入札してお金を作り、それを寺の費用としていたところもあるいう。かつては牛馬の飼料として一束単位で売れたが、現在は草を機械で刈るので散らばってしまい、集めて少し乾燥させてから火をつけて焼いているという。草を刈った後、用具は自分で用意し、古い塔婆を燃やす。...