「集合行動」とは、比較的まとまった秩序のある規則的かつ広範にわたる特定の人々が現出する比較的無組織かつ流動的な社会行動であり、どちらかといえば不定形なパターンを示すことが多いとされる。乱集、暴動、集団催眠現象、流言、流行現象等がこれに含まれる。
集合行動研究の始まりは、ル・ボンの著作「群集心理」と言われている。「群集」とは「身体的に近くに集まっていて、一時的に社会的な影響を互いに与え合う」人々の集まりで、役割や目的が存在する「集団」とは区別される。そしてある種の群集には独特な強い感情的雰囲気が発生し、その雰囲気に巻き込まれると人は普段とは異なった心理状態に陥り、個人でいるときには見られないような行動に走ることがある。これを「群集心理」という。ル・ボンはフランス革命の九月虐殺をきっかけとして群集心理の研究を始めた。九月虐殺では一般市民が大勢で囚人を殴り殺し、またそれを多くの人が笑いながら見ていた。個人個人に戻ればごく普通の一般市民である彼らが、大勢集まり、その場の高揚感が高まったことで普段とは違った精神状態に陥り、個人では考えられないような残虐な行為ができてしまったのである。この心理を...