保険金額と保険価額の関係は、保険者の具体的なてん補額に種々の保険処理をもたらす。保険金の受取額に大きく影響するため、無駄なく、十分な補償を受けるためには、契約時に保険価額が適正に評価され、それに相応する保険金額が設定されている必要がある。 保険価額とは、保険者(保険会社)の損害てん補責任の最高限度額を示すものである。対して保険金額は、保険者が契約上負担した損害てん補責任の最高限度たる金額である。 保険価額は、被保険利益に保険事故が発生した場合、被保険者が被ることあるべき損害額の最高限度額をいい、被保険利益とは、財産を所有・支配する者が、その財産(保険契約の目的)に保険事故が生ずることによって経済的損害を被る関係を被保険利益という。被保険者が保険価額以上の損害を被ることはないから、保険価額は保険者の損害てん補責任の最高限度額である。 また保険価額は、保険期間中一定ではなく変動するので、原則として時価である。損害保険は、被保険者の被った損害のてん補を目的とするものであるから、保険者のてん補すべき損害額は、保険事故発生の時の保険価額である(商法第638条第1項)。
保険金額は、保険契...