教科書問題

閲覧数2,904
ダウンロード数40
履歴確認

    • ページ数 : 6ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    1.教科書問題概観
     まず概観として教科書問題論争の経緯を振り返る。
    民間の「新しい歴史教科書をつくる会」が既存の7種類の中学歴史教科書に加えて新しい教科書を作成し、文部科学省の教科書検定調査審議会の検定に合格した。審議会では137カ所の修正を要求されたが、発行元の民間出版社である扶桑社はこれに加えて自主的な訂正を行った。
     ところが、2000(平成12)年5月にはいって、中国政府は8項目、韓国政府は35項目にわたる要求を日本政府に対し出してきた。35項目のうち30項目が扶桑社の教科書に対しての要求だった。しかし、検定に合格したあとの修正は、誰の目にも明らかな誤記あるいは学問上の明白な誤り以外できないことになっている。国の恣意的な介入や歴史観、解釈の検閲は憲法が禁止する検閲になりかねないからである。
     1986(昭和61)年に「日本を守る国民会議」が編集した高校の歴史教科書に対し、中韓両国が強い反発を示したとき、当時の文部省はこの教科書を400カ所以上にわたって書き換えさせた。このこと自体は大きな議論をよんだが、修正が可能になったのは、教科書が最終合格になる前だったという事実がある。だが、文部科学省は00年の韓国の修正要求のうち2カ所について出版社に訂正を求めたあと、中韓両国に「必ずしも誤りではない」と回答した。韓国側は国会で日韓関係の全面見直し決議を採択したほか、大衆文化の段階的開放中断などの措置を決めたのである。
    2.南京事件(南京大虐殺)概観
     日本人の多くが、南京大虐殺のことを知るようになったのは、第二次世界大戦後の東京裁判と並んで、朝日新聞記者・本多勝一の『中国の旅』(1972)に負うところが大きいといえる。しかし、このベストセラーに対して、鈴木明『「南京大虐殺」のまぼろし』(1973)が反論を加えたが、この本の主張は、

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    国際関係論
    1.教科書問題概観
    まず概観として教科書問題論争の経緯を振り返る。
    民間の「新しい歴史教科書をつくる会」が既存の7種類の中学歴史教科書に加えて新しい教科書を作成し、文部科学省の教科書検定調査審議会の検定に合格した。審議会では137カ所の修正を要求されたが、発行元の民間出版社である扶桑社はこれに加えて自主的な訂正を行った。
    ところが、2000(平成12)年5月にはいって、中国政府は8項目、韓国政府は35項目にわたる要求を日本政府に対し出してきた。35項目のうち30項目が扶桑社の教科書に対しての要求だった。しかし、検定に合格したあとの修正は、誰の目にも明らかな誤記あるいは学問上の明白な誤り以外できないことになっている。国の恣意的な介入や歴史観、解釈の検閲は憲法が禁止する検閲になりかねないからである。
    1986(昭和61)年に「日本を守る国民会議」が編集した高校の歴史教科書に対し、中韓両国が強い反発を示したとき、当時の文部省はこの教科書を400カ所以上にわたって書き換えさせた。このこと自体は大きな議論をよんだが、修正が可能になったのは、教科書が最終合格になる前だったという事実があ...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。