1(1)共犯とは、2 人以上のものが共同して犯罪を実現することをいう(60 条)。
(2)もっとも、その本質において、すなわち、共犯とは何を共同するものであるか(罪名従属性)、また共犯が成立するためには共犯の行為のみで足りるのかそれとも正犯者の一定の行為を要するのか(実行従属性)、さらにそれが必要であるとしても、その正犯者の行為がどの程度の犯罪要素を備えていることが必要であるのか(要素従属性)については見解が分かれている。以下、個別に検討する。
2(1)まず、罪名従属性を必要とするかにつき、犯罪共同説と行為共同説の争いがある。犯罪共同説は、2 人以上の者が特定の犯罪を共同して実現する場合が共犯であるとし、その帰結として共犯は同一の犯罪についてしか成立しないことになる。もっとも、今日では犯罪共同説が緩和され、同質的に関わりあう部分については、異なる構成要件間であっても共犯の成立は肯定される(部分的犯罪共同説)。
(2)他方、行為共同説は数人が共同の行為によって各自の企画する犯罪を遂行する場合が共犯であると解し、その帰結としては正犯と共犯に成立する罪名は同一でなくてもよいことになる。
(3)これについては、狭義の従犯(幇助犯)を除いては、自己の犯罪意思を実現するために、他人が行うまたは他人と共同して行う何らかの違法な行為を自己の行為として取り込むことにより、これを実現すると考えられるため、行為共同説が妥当である。
刑法課題レポート 7
1.問題
共犯の従属性に関して実行従属性、罪名従属性及び要素従属性の三点につき論ぜよ。
2.回答
1(1)共犯とは、2 人以上のものが共同して犯罪を実現することをいう(60 条)。
(2)もっとも、その本質において、すなわち、共犯とは何を共同するものであるか(罪名従属性)、
また共犯が成立するためには共犯の行為のみで足りるのかそれとも正犯者の一定の行為を要
するのか(実行従属性)、さらにそれが必要であるとしても、その正犯者の行為がどの程度の犯
罪要素を備えていることが必要であるのか(要素従属性)については見解が分かれている。以下、
個別に検討する。
2(1)まず、罪名従属性を必要とするかにつき、犯罪共同説と行為共同説の争いがある。犯罪共同説
は、2 人以上の者が特定の犯罪を共同して実現する場合が共犯であるとし、その帰結として共
犯は同一の犯罪についてしか成立しないことになる。もっとも、今日では犯罪共同説が緩和さ
れ、同質的に関わりあう部分については、異なる構成要件間であっても共犯の成立は肯定され
る(部分的犯罪共同説)。
(2)他方、行為共同説は数人...