“七夕祭り”と日本
現在、日本各地で七夕祭りが開催されており、七夕という習俗は日本に深く浸透しているが、そもそもの七夕伝説の起源についてよく考えたことはあるだろうか。
誰もが知っている七夕伝説に意外な来歴があること、そして、それを探ることが日本の文学の特質、特性に迫ることになるのである。
七夕伝説の概要を説明すると、天の川に隔てられている琴座のベガ(織女)と わし座のアルタイル(牽牛) が七夕伝説の主人公となる。
織女は天帝(天の神様)の娘で毎日一生懸命に機織りをしていた。一方、牽牛はウシ飼いの仕事に励む若者だった。ところが、恋に落ちた二人は自分たちの仕事を投げ出してしまいます。怒った天帝は二人を天の川の両岸に分かつが、年に一度、七月七日の夜だけ、二人が会うことを許す。この七夕のお話は、短冊に願い事を書いて笹の葉に吊るす、という行事とともにおそらく知らない人がいないくらいに有名だろう。
しかし、それが本来、中国の伝説であったことは以外に知られていない。しかも、中国の伝説では、織女が車に乗って牽牛に会いに行く、というストーリーであるのに、日本で渡来した後には、万葉集において...