? はじめに
本論文は地域通貨にはどのような効果があるのかということを示すことを目的とする。そのためにまず、地域通貨とはどういったものなのかをまとめるとともに、地域通貨が出てきた背景を述べる。次いで、地域通貨の効果と、それによる地域共生について述べる。そして最後に、地域通貨のこれからについて検討する。
? 地域通貨の説明と背景
私たちは貨幣や通貨といわれれば、当たり前のように円やドルを思い浮かべる。
円やドルは「法定通貨」と呼ばれ、その効力が国家によって裏付けられた通貨である。したがって、法定通貨は国家のあらゆるところで通用することが大原則となる。一方、地域通貨とは、「ある特定の地域、またはコミュニティの範囲に限り流通するお金」のことである。これは、当事者同士の合意と約束によって成り立つ共通の価値尺度であるという意味で、貨幣の最も原始的なメカニズムを現代に呼び覚ましたものといえる。国家や法定通貨が誕生する以前の古代社会では、塩や穀物類、家畜のほかに貝殻、石などの物品が貨幣として使われていたのである。貨幣とはむしろ、ある集団やコミュ二ティの中で、また複数のコミュニティ間で共有された、いわば約束事に近く、払い手と受け手のとの了解によって成立するものなのだ。
地域通貨は日本語で文字どおり読めば「地域の通貨」である。しかし、地域通貨の意味を正しく理解するためには、この言葉が英語では2通りに表現されるということを知る必要がある。ひとつは「ローカル・カレンシー」である。これは、地場・地元の通貨といった意味合いで、ある特定の地域において流通することを想定した通貨であり、日本語の語感とも近い。ところが、英語でより一般的なのは、もうひとつの「コミュニティ・カレンシー」という言い回しの方である。
目次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 地域通貨の説明と背景
Ⅲ 地域通貨の効果
1.目的性とメッセージ
2.「私たち」という感覚
3.あらかじめ書かれたデザイン
Ⅳ 地域通貨の未来
Ⅴ まとめ
Ⅰ はじめに
本論文は地域通貨にはどのような効果があるのかということを示すことを目的とする。そのためにまず、地域通貨とはどういったものなのかをまとめるとともに、地域通貨が出てきた背景を述べる。次いで、地域通貨の効果と、それによる地域共生について述べる。そして最後に、地域通貨のこれからについて検討する。
Ⅱ 地域通貨の説明と背景
私たちは貨幣や通貨といわれれば、当たり前のように円やドルを思い浮かべる。
円やドルは「法定通貨」と呼ばれ、その効力が国家によって裏付けられた通貨である。したがって、法定通貨は国家のあらゆるところで通用することが大原則となる。一方、地域通貨とは、「ある特定の地域、またはコミュニティの範囲に限り流通するお金」のことである。これは、当事者同士の合意と約束によって成り立つ共通の価値尺度であるという意味で、貨幣の最も原始的なメカニズムを現代に呼び覚ましたものといえる。...