豊田商事の金の現物まがい商法について
1.事案
ある日、最近遺産を相続して資産を分散して保有したいと考えていたAのもとに、T商事
の社員から金(きん)に興味はないかとの電話があり、Aはそれに興味を示し、翌日Aのもと
にT商事の社員Bが勧誘にきた。
Bは、Aにパンフレットを見せながら「金がどんどん値上がりしています」「このままい
くと、史上最高値は目前です」
「当社では、資産としても有利ですし、値上がりも見込め、
無税で保有できる『金』をお買い求めいただくことをお勧めしています」とAに説明し、A
は遺産の4分の1くらいは金に換えてもいいかなと考え、金地金3kgを購入するつもりに
なった。
さらに、Bは「自身で保管すると盗難にあうかもしれません。当社にお預け頂ければ、当
社はお預かりした金地金を運用して、5年間で 15%の賃借料をお払いします」と勧誘し、
結局、Aに金地金3kgの購入契約をさせると同時に、購入した金地金をT商事が5年間賃
借し、毎年3%ずつ賃借料を支払うという契約をさせ、金地金の代金 600 万円を支払わせ
るのと引換に、金地金の預かり証券を交付した。
しかし、
T商事はこ...