律令制とは、主に古代の東アジアで見られた中央集権型な統治体制である。そのような統治形態の国を律令国家や律令体制と呼ばれる。具体的には、律とは刑罰法のことであり、また、令とは行政法(国家の政治組織や官吏の服務規程)のことである。
律令制における統治形態の最大の特徴は、公地公民の原則である。公地公民とはすべての土地・人民は国家すなわち君主(日本における天皇)の所有とし、私有を認めないことである。続いて日本における律令制の変遷について述べていこう。日本で律令制が現れ始めたのは大化の改新のときである。大化の改新とは中大兄皇子と中臣鎌足らの革新派が蘇我入鹿を打倒し、それ以降の政治的改革のことである。大化の改新後に宣布された『改新の詔』には以下の基本方針があった。
一.皇族・豪族の私有地・私有民を廃止し、公地公民とする。
二.中央による統一的な地方統治制度を創設する。
三.戸籍・計帳・班田収授法を制定する。
四.租税制度を再構築する。
以上の四ヵ条の施策は唐の律令制度を模範とし、中央集権国家の確立を図ったものだが、氏姓制度が依然残るなど社会構造の大変革には至らなかったのである。しかしその後も律...