Ⅰ.我が国の精神医療・福祉のこれまで
精神障害者に関する我が国最初の法律「精神病者監護法」は医療的視点が乏しく、私宅監置を認めた
社会防衛的なものであり、家族に保護義務を負わせた。この私宅監置は精神衛生法の制定まで続き精神
障害者注1)とその家族への負担を増大させた。
1950~1960年代入院施設が増加したが、治療法の遅れと医療体制の貧弱さから、精神科病院での
患者対応は不適切であり、人権上問題となる事態も見られた。その背景には、他科に比べて医療費が低
いこと、精神科特例注2)など医療政策上の問題があった。また、社会復帰を望む患者の受け入れ体制も貧
弱であったため入院が長期化した。
しかし、1986年には人権擁護と処遇の改善を目指し、精神保健法が成立し、治療法の進歩もあって、
社会復帰への取り組みが次第に進展してきた。治療指針が示され、精神科医療・福祉が疾患モデル注3)か
ら生活モデル注4)へと変化し、患者の自己決定の尊重、パターナリズム注5)への反省など、精神保健思想の
普及に応じて、病院や地域における処遇も変化をきたしつつある。
さらに、直近の数年間に、国は「受け入れ条件...