平成10年、中央教育審議会は「新しい時代
拓く心を育てるために」を答申した。この中で青少年に求める「『生きる力』の核となる豊な人間性」として、「正義感や公正さを重んじる心」「生命を大切にし、人権を尊重する心などの基本的な倫理観」「他人を思いやる心や社会貢献の精神」「自立心、自己制御力、責任感」などを「生きる力の核」と掲げ、実現に向けた提言を示している。これはモラルの低下や、知育偏重で心のゆとりを失った子どもの危機に対し、家庭を基盤に子どもの道徳心、正義感を育むことを目的としたものであった。これを受ける形で、同年12月の『中学校学習指導要領』改訂では、総則において「……生徒に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を活かす教育の充実に努めなければならない」と明記した。これは新設された「総合的な学習の時間」のねらい、「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること」に沿ったものとなっている。
平成19年の「次代...