中学・高校生と関わる上で有用なカウンセ
リングとして、まず認知療法が挙げられる。
「認知」とは直面している状況の、外部からの働きかけへの思考を指す言葉である。例えば好成績を取り(状況)、親から褒められた(外部からの働きかけ)場合、自分の価値が高まったと考え、喜びを感じる。また好成績を維持しなければ期待を裏切ると思い、心理的負担に思う場合もある。このように同じ状況でも外部からの働きかけをどう捉えるかで気持ちは変化する。また認知には、考えるという行為を意識する間もなく、瞬間的に湧いて出る「自動思考」、過去の記憶や信念、思いこみによって形成される「スキーマ」がある。例えば「犬は不快だ」という感情は「犬に追われた、噛まれた」など、過去の記憶や経験によって生み出されたスキーマである。またそのスキーマから、犬を見ただけで「怖い」と感じる、自動思考が生じることとなる。
認知療法では不安や不適応症状はスキーマ
が「認知のゆがみ」によって、否定的な自動
思考を生むためと考える。「認知のゆがみ」とは、物事を判断する際の非合理的な見方のことで、出来事を黒白や善悪など両極端に考える「全か無かの思考」...